↑Cal.UN-118

パーツの徹底分解でわかったユリス・ナルダンのフラッグシップ「マリーン クロノメーター」が秘める驚異の作り込み【ムーブメント編】

2017年1月12日

ユリス・ナルダンは、言わずと知れた創業170年を数えるスイス時計界の名門。2017年から新作発表の場をSIHHに移すなど、新たな局面を迎えている老舗の本領を、フラッグシップモデル「マリーン クロノメーター」から紐解いていきます。前回のケース編に続き、今回は自社製ムーブメントUN-118について、詳しく見ていきます。

 

約250のパーツからなる革新設計の高精度ムーブメント

ユリス・ナルダンが自社開発したCal.UN-118は、非常に考えられた設計となっています。カスタマーサービス責任者の田澤さんが見たところでは、メンテナンス性まで配慮されているとのこと。

 

「高負荷がかかるパーツがないようにギアが組まれていて、非常に合理的な設計になっています。ムーブメントは文字盤側に3つのプレートがあるのですが、それぞれの役割が独立しているので非常にメンテナンスがしやすい。修理することまでよく考えられた設計です」

↑ユリス・ナルダン「マリーン クロノメーター」393万1200円/Ref.1186-126/E0 18KRGケースにドンツェ・カドラン製造のエナメルダイアルを採用

↑ユリス・ナルダン「マリーン クロノメーター」393万1200円/Ref.1186-126/E0
18KRGケースにドンツェ・カドラン製造のエナメルダイアルを採用

 

これが高精度ムーブメントの全貌

↑Cal.UN-118の文字盤側

↑Cal.UN-118の文字盤側

普段は見ることができないムーブメントの文字盤側。カレンダーディスクに囲まれた3枚のプレートは、下側がカレンダー、右側が時刻、左上がパワーリザーブの表示機構を支持しています。

 

パワーリザーブ+デイト付きの3針自動巻き仕様にして総部品数は248個と、クロノグラフに匹敵するほどの数。特筆すべきはルビーの数で、なんと50個もセットされています。

 

↑時刻を刻んでいるときには、カレンダーディスクと金色の歯車が噛み合っている

↑時刻を刻んでいるときには、カレンダーディスクと金色の歯車が噛み合っている

日付調整を行うとき、通常カレンダーディスクと接している歯車は直接干渉しません。その代わりに、プレート下層に仕込まれたいくつもの歯車が連動し、進み戻しの調整を可能にします。負荷が少ないので操作感も軽快。

 

脱進機にはダイヤモンシルを採用

↑Cal.UN-118

↑Cal.UN-118の裏蓋側

裏蓋側では、美しく作り込まれた自動巻きローターが目に飛び込んできます。自動巻きのメカニズムには爪レバー式を採用し、高効率での巻き上げが期待できます。

 

回転錘にもメダルがはめ込まれている通り、Cal.UN-118には、ユリス・ナルダンが開発した「ダイヤモンシル」のテクノロジーが使われています。

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「ダイヤモンシル」は人工ダイヤモンドでコーティングしたシリシウムで、これをアンクルとガンギ車に採用。ヒゲゼンマイはシリシウム製です。

 

フリースプラング式のテンプは、2点支持の両持ちブリッジにセットされています。

 

未知なる可能性に目が離せない!

一般的には部品を増やすほどにアッセンブリの手間や、故障しやすい箇所が増えるものですが、Cal.UN-118はこうしたデメリットを見事に解消しています。

 

野澤さんが触れた通り、パーツ点数は多くても輪列構造は負荷を分散させるための非常に合理的な設計。プレートへのルビーのセットなど、サブアッセンブルの作業工程は多いでしょうが、それらを最終的に組み上げるのは作業しやすそうです。また、かなり耐久性にも配慮されているので故障もしにくいと思われます。

 

Cal.UN-118は、わずか3点の歯車を追加するだけで一気にアニュアルカレンダーにバージョンアップするなど、私たちの知り得ない可能性が秘められています。これからさらにどのような進化を遂げていくのか。新生ユリス・ナルダンの動向に、ますます目が離せません。

↑Cal.UN-118

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