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創業者の問いかけに一人だけ手を挙げた若き天才時計師の告白ーーフレデリック・コンスタント社マスター・ウォッチメーカー/ピム・コースラグ氏インタビュー【後編】

2017年12月22日

テンプの動きが文字盤側から楽しめる「ハートビート」の設計を世界で初めて考案するなど、フレデリック・コンスタントは創業30年ほどで数多くの偉業を成し遂げてきました。こうした躍進を2002年から支えてきたのが、“ブランドの頭脳”ピム・コースラグ氏。フレデリック・コンスタント躍進の原動力となっている彼が初来日したタイミングで、話を聞くことができました。

前編はこちら

 

インスピレーションの源は「手の届くラグジュアリー」

−−フレデリック・コンスタント初の自社製ムーブメントCal.FC-910は、2004年に発表されました。その後も様々な自社製ムーブメントを手がけていますが、何があなたの意欲的な開発を支えているのでしょうか?

フレデリック・コンスタントの自社ムーブメントの開発は、常にブランドのコンセプトである「Accessible Luxury(手の届くラグジュアリー)」に基づいています。私たちの製品価格帯で自社製ムーブメントを搭載することは、それだけで価値あることだと思いますし、これをさらに発展させることもまた自然な流れでしょう。

↑フレデリック・コンスタント社マスターウォッチメーカー/ピム・コースラグ氏

↑フレデリック・コンスタント社マスター・ウォッチメーカー/ピム・コースラグ氏

FC-910や、その後に開発したFC-700は、発展させることを前提に設計したベースムーブとなっています。これらは、カレンダーウオッチからトゥールビヨン、永久カレンダーに、新作となるフライバック クロノグラフまで、様々な可能性を秘めているのです。

↑ムーンフェイズとポインターデイト、24時間計を備えたFC-945搭載のハートビート マニュファクチュール。文字盤とケースが完全に調和したデザインは、すべてピム氏の狙い通り

↑ムーンフェイズとポインターデイト、24時間計を備えたFC-945搭載のハートビート マニュファクチュール。文字盤とケースが完全に調和したデザインは、すべてピム氏の狙い通り

開発に際して難しいことは、ただ一つ。どのようにしてフレデリック・コンスタントの価格帯に落とし込むか。という点だけですね。永久カレンダーをピーターからオーダーをされたときは、本当に途方にくれましたよ(笑)。

この難題に対して私が考えた解決策は、ムーブメントに永久カレンダーモジュールを加える設計でした。結果、価格を抑える(注:スリムライン パーペチュアル カレンダー マニュファクチュールは129万6000円)ことができただけでなく、合理的な設計で修理もしやすいというメリットも生まれました。これは他社製の永久カレンダーウオッチとは、一線を画す特徴だと言えます。

 

−−フライバック クロノグラフも、他ブランドの自社製ムーブメント搭載機と比べて現実的な価格となっています。これもやはりモジュール方式の設計のメリットなのでしょうか?

その通りです。フライバック クロノグラフではよりモジュールのパーツ点数を減らすことができました。その技術的成果で、特許も取得しています。

私たちが取得した特許技術は、リセットハンマーに関する事柄です。従来のコラムホイール式クロノグラフは、スタート・ストップ・リセットのすべてをコラムホイールを介して行っていました。対して新作のフライバック クロノグラフ マニュファクチュールを搭載するFC-760は、4時側のリセットボタンが直接リセットハンマーとクラッチギアに作用するようになっています。

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↑スタート・ストップのみを制御するコラムホイールは、シンプルな星型を採用。このようにパーツの加工をシンプルにすることも、価格の抑制につながっている

このムーブメントは60秒積算と30分積算の計測機能を持つクロノグラフですが、リセットハンマーは3股に分かれています。1つめは30分積算、2つめは60秒積算、そして3つめは動力を伝達するクラッチギアを切り離す役割を持っているのです。

この「ダイレクトフライバックハンマー」は、屈強な男性が押しても華奢な女性がリセットボタンを押しても壊れず正確に動作するようハンマーの設計を変え、トライ&エラーを繰り返しながらレバーの弾性の最適値を模索しました。壊してしまったプロトタイプは、30ぐらいはあるでしょうか(笑)。

無駄と思われるかもしれませんが、机上で計算を続けるより早いですし、信頼の置けるものが出来上がったと思います。

 

創業者の先見の明は時計師選びにも発揮されていた

創業者ピーター・C・スタース氏は、ハートビートからスイス初のスマートウオッチまで、様々な取り組みをいち早く行ってきた人物ですが、まさか人を見る目にまで優れていたとは驚きです。というのも実はピム・コースラグ氏は、フレデリック・コンスタントの価格では作りきれなかったムーブメントを、アトリエ ド モナコという別ブランドで発表しています。こちらはかなりの高級時計ですが、ピム氏がやりたいことを本気でやればジュネーブ・シールだって取得できてしまうわけです。

逆説的ですが、超高級時計を作るだけの知識と経験を持った人物が「手の届くラグジュアリー」というコンセプトを基に作り上げたものがフレデリック・コンスタントのマニュファクチュールコレクションというわけです。

フレデリック・コンスタントの時計が、ユニークでハイクオリティな理由も納得ですね。

 

フレデリック・コンスタント公式サイト https://frederiqueconstant.com/ja/

Ateliers deMonaco http://ateliers-demonaco.com/

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